ライフスタイルが多様化する現代、がん検診の受診はハードルが高いと考えている方は少なくありません。
しかし、日本人のがん罹患率・死亡率は増加傾向であり、がんの早期発見・早期治療が国民的な課題といえます。※1
本記事では、「手軽にがんのリスクが知りたい」「簡単にがんのリスク検査を受けたい」と考えている方へ、マイクロCTC検査、線虫検査(N-NOSE)について詳しく解説します。
それぞれの検査の概要やメリット・デメリットを紹介し、2つの検査の比較表を作成しました。
手軽かつ簡単にがんのリスク検査を受けたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
マイクロCTC検査の概要
マイクロCTC検査は、がん細胞そのものを捕捉し、その個数まで特定する先進的な血液検査です。
がん細胞は、健康な方でも毎日5,000個程度生まれるといわれています。※2
多くのがん細胞は免疫力で排除されますが、排除されず体内に残ったがん細胞は、血管とがん細胞をつなげる新生血管をつくり、増殖しはじめます。
マイクロCTC検査は、新生血管から血管に漏れ出したがん細胞を直接捉えるため、増殖しはじめた段階のがんを見つけることが可能です。
従来のスクリーニング検査やCT、MRI、PETなどの画像診断では、がん細胞が10億個以上に増殖し、1cm以上に成長するまでは発見されません。
がんの超早期発見には、マイクロCTC検査が大変有効です。
1回5分の採血でがんリスクがわかる
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで血液がん以外のすべてのがんのリスクを把握できます。
検査着に着替える煩わしさや、事前の準備が不要なため、お仕事帰りやお買い物のついでにも気軽に検査に立ち寄れる点が特徴です。
少量の血液を採取したあと、そのままお帰りいただけます。
高悪性度のがんを捕捉可能
マイクロCTC検査は、血中に漏れ出した高悪性度の「間葉系がん細胞」のみを捉えます。
がん細胞は、悪性度によって大きく2つにわけられます。
「間葉系がん細胞」は、高い運動能力で周囲の組織に浸潤し、ほかの臓器に転移するため、悪性度が高く、注意が必要です。
一方、悪性度の低い「上皮性がん細胞」は、浸潤・転移の可能性がなく、簡単に手術での切除が可能で、命を脅かす心配はありません。
しかし、「上皮性がん細胞」の一部は、上皮間葉転換(EMT)を経て「間葉系がん細胞」に進行します。
マイクロCTC検査は、上皮間葉転換した悪性度の高い「間葉系がん細胞」のみを捕食します。
日本国内でスピーディーに検査可能
マイクロCTC検査では、国内に検査センターを設けており、迅速な検査体制を整えています。
採取後すぐに検査をおこなうことで、正確性と信頼性を維持しています。
マイクロCTC検査は、血液を海外に輸送する必要がないため、高品質・高精度な検査が可能です。
線虫検査(N-NOSE)の概要
線虫検査(N-NOSE)は、自宅で簡単にがんのリスクを確認できる検査です。
「がんは心配だけど、忙しいから病院を受診できない」と悩んでいる方には、自宅で検査が可能な点は大きなメリットでしょう。
ここでは、線虫検査(N-NOSE)の概要と検査費用を紹介します。
がん特有の匂いを検知する線虫を活用した検査
線虫検査(N-NOSE)は、がん特有の匂いに敏感な小さな虫を活用した検査です。
線虫は、がん細胞が含まれた尿に集まり、健康な尿から逃げる性質を持っています。その優れた嗅覚を利用し、がん細胞の有無を調べます。
検査キットは、ネット通販やドラッグストアなどで購入ができるため、医療機関を受診する必要はありません。
ステージ1期の早期がんの発見に役立つ検査方法です。
全身15種のがんを検査できる
線虫検査(N-NOSE)では、尿1滴で15種類のがんのリスクを調べることが可能です。
国や自治体などが実施しているがん検診は、5種類(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)のみです。
線虫は、全身の広範囲のがん種に反応します。五大がん検診では対応していないがん種も早期に発見できるメリットがあります。
線虫検査(N-NOSE)で反応が確認されているがん種は、最大15種類です。
- 口腔・咽頭がん
- 食道がん
- 肺がん
- 乳がん
- 胃がん
- 肝臓がん
- 膵臓がん
- 胆のうがん
- 胆管がん
- 大腸がん
- 腎臓がん
- 膀胱がん
- 卵巣がん
- 子宮がん
- 前立腺がん
リーズナブルな価格設定
線虫検査(N-NOSE)の魅力は、リーズナブルな価格設定です。
医療機関にて全身のがん検診を受診する場合、男性は234,800円、女性は267,800円程度の費用がかかります。※3
線虫検査(N-NOSE)の検査費用は、13,800円程度です。また、検査キットはネット通販やドラッグストアなどで購入可能です。
自宅で採取した尿を指定の場所に提出すれば、判定結果が届きます。医療機関を受診する必要はありません。
そのため、受診料や精密検査にかかる費用が抑えられて、手軽かつリーズナブルにがんリスクを調べられます。
【比較】 マイクロCTC検査と線虫検査の違い
ここで、マイクロCTC検査と線虫検査(N-NOSE)を比較しました。
マイクロCTC検査 | 線虫検査(N-NOSE) | |
---|---|---|
発見できるがん細胞 | 全身のがん細胞 | 15種類 |
検査費用 | 198,000円 | 13,800円 |
事前準備 | なし | なし |
検査時間 | 1回5分 | 5分未満 |
身体的な負担 | なし | なし |
メリット | 悪性ながん細胞のみを捉え、個数まで特定する 特異度94.45%の高精度 | 価格がリーズナブル 自宅で検査が可能 |
デメリット | 費用が高い | 有効性は検証段階 |
※料金はすべて税込表示です。
次に、マイクロCTC検査と線虫検査(N-NOSE)の違いを項目ごとに詳しく解説します。
発見できるがん細胞
マイクロCTC検査は、全身のがん細胞を捉えて、個数まで明示するのに対し、線虫検査(N-NOSE)がリスク評価できるがんは、15種のみです。
発見できるがん細胞数に関しては、マイクロCTC検査が優秀であることが明らかです。
検査費用
マイクロCTC検査の検査費用は、198,000円です。※4
高額なイメージがありますが、従来の総合がん検診の場合、平均で約250,000円(男性234,800円、女性は267,800円程)かかることを考えれば、納得できる金額でしょう。※5
線虫検査(N-NOSE)は、自身で尿を採取するため医療機関を受診する必要がないため、13,800円程度で検査を受けられます。※6
また、線虫の飼育に対するコストが安価な点も検査費用に影響しています。
事前準備
マイクロCTC検査、線虫検査(N-NOSE)ともに、事前の準備はございません。
食事制限や現在服用している薬を止める必要もございません。検査着に着替える手間もなく、線虫検査(N-NOSE)においては自宅で検査が可能です。
仕事や家事などで忙しい方が多い現代社会において、受けたいときにすぐがんリスク検査が受けられることは、大きなメリットです。
検査時間
マイクロCTC検査の検査時間は、1回5分です。採血自体は1分にも満たないため、検査前後の処置を含めても1回5分で終了します。
線虫検査(N-NOSE)の場合、自身で尿を採取するのみなため、です。5分もかからないでしょう。
尿を採取したあとは、指定の場所に郵送し、4~6週間後に検査結果が届きます。
身体的な負担
マイクロCTC検査や線虫検査(N-NOSE)では、検査薬を注射したり、内服したりする必要がないため、身体的な負担はかかりません。
マイクロCTC検査は少量の血液を、線虫検査(N-NOSE)は尿を採取するのみです。
検査中はもちろん、検査前・検査後も体に一切負担がかからない検査といえます。
メリット
マイクロCTC検査の大きなメリットは、正確性です。
血中に漏れ出した全身のがん細胞を捉えて、個数まで特定するため、陽性判定の場合は「体内にがんが潜んでいる」といえます。
一方、がんではない場合、がん細胞が存在せず、捕捉できません。94.45%の高確率で陰性と判定されます。※7
また、従来のがん検診や画像診断では発見が難しい、1cm未満の超早期がんを見つけられることも強みです。
線虫検査(N-NOSE)のメリットは、自宅で気軽に15種類のがんリスクが調べられる点です。
自身で尿を採取するため、医療機関を受診する必要はありません。
費用を抑えられることから、定期的に検査しやすい点もメリットといえます。
そのほか、マイクロCTC検査と線虫検査(N-NOSE)に共通しているのは、体に負担がかからないということです。
痛みはもちろん、医療被ばくの心配もありません。
デメリット
マイクロCTC検査は、従来の総合がん検診より安いものの、20万円弱の費用がかかります。
経済的な負担にならざるを得ない点は、デメリットといえるでしょう。
線虫検査(N-NOSE)の価格はリーズナブルですが、有効性はまだ検証中です。偽陰性・偽陽性になる可能性は捨てきれません。
正確性に優れたマイクロCTC検査でがんリスクをチェック
マイクロCTC検査は、間葉系がん細胞の検出において特異度94.45%と非常に高い精度を誇っています。
世界有数のがん研究施設の米国MDアンダーソンがんセンターが開発した、CSV(細胞表面ビメンチン)抗体を導入し、国内の検査体制を整えることで高品質・高精度を保っています。
線虫検査(N-NOSE)の特異度は86.3%と、高水準ではありますがマイクロCTC検査には及びません。※8
マイクロCTC検査は、正確性に優れており、信頼がもてる検査といえます。
従来のがん検診には、偽陰性・偽陽性という問題があります。
がんの見落としや、がんの疑いがあると判定されて精密検査を行ったが、結果的にがんではなかったなどのケースも少なくありません。
マイクロCTC検査は、がん細胞そのものを捕捉するため、偽陰性・偽陽性が起こる可能性は極めて低いでしょう。
まとめ
本記事では、1回5分の採血で高精度の全身がんリスク検査が可能なマイクロCTC検査と、自宅で検査が可能な線虫検査(N-NOSE)について解説しました。
がんは、日本人の死因原因の1位を占める疾患であり、毎年30万人以上の方が死亡しています。※9
現代医療のめざましい進歩のおかげで、多くのがんは、早期に発見し適切な治療をおこなえば完治が望める時代です。
しかし、初期のがんは自覚症状がありません。
がん検診を受ける時間がない方、医療機関の受診に抵抗がある方も自身のがんリスクを調べることをおすすめします。
また、一部のがんは遺伝性のがんであることが認められています。
家族にがん患者がいる、血縁者ががんで亡くなった場合は、とくに定期的なリスク検査が重要です。
がんの早期発見・早期治療を目指し、いつまでも元気に活躍し続けましょう。
〈参考サイト〉
※1:がん情報サービス「がん統計」
※2:がん対策推進企業アクション「がん検診のススメ」
※3、※5:国立がん研究センター 中央病院「検診費用」
※4、※7:マイクロCTC検査「血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査」
※6、※8:N-NOSE(エヌノーズ)「世界初の線虫がん検査 N-NOSE®」
※9:厚生労働省「政策レポート(がん対策について)」