マイクロCTC検査は、全身のがんリスクを調べる検査です。
同じく全身のがんを見つける検査にはPET検査があります。
がんが気になる一方で忙しくてクリニックへ行く時間がない、さまざまな検査を受けることが辛いなどでがん検診を受けられない、と悩む方も多いでしょう。そのような場合、マイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査はPET検査とは異なり簡便に受けられるがん検査です。
この記事では、マイクロCTC検査とPET検査の違いについて解説します。マイクロCTC検査を受けようかと悩んでいる方やPET検査との違いを知りたい方はぜひ参考にしてください。
マイクロCTC検査とPET検査の基本情報

マイクロCTC検査とPET検査の両方とも、全身のどこかにがんを発症していないかどうかを調べる先端検査です。
マイクロCTC検査では、採血をおこない血液中に流れ出たがん細胞(血中循環がん細胞=CTC)をチェックし、がん細胞の悪性度や個数までわかるため、全身のがんリスクが明確にわかります。
PET検査は、CT検査やMRI検査と同じような画像検査であり、体のどの部位にがんが発症しているかをチェックできます。
ここではマイクロCTC検査とPET検査のそれぞれの検査の基本情報について詳しく解説します。
マイクロCTC検査の基本情報
マイクロCTC検査は、血中に漏れ出し循環するがん細胞を補足する検査のことで、その漏れ出したがん細胞を、血中循環がん細胞=Circulating Tumor cells(サーキュレイティングトゥーマーセルズ)と呼びます。
その頭文字をとり、CTC検査と表現しています。
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかる検査です。
これまでの通常のがん検査では画像検査を使用していましたが、検査にかかる時間や費用、そして検査にともなう放射線への被爆リスクも指摘されていました。
しかしCTC検査では、採血でがん細胞を確認してがん細胞が体内にあるかどうかを判定できます。
採血以外に検査不要であり、採血をするときに痛みを感じる以外の体への負担もありません。
健康な方でも体内で日々がん細胞が産生されますが、通常であれば免疫細胞などの体内のシステムにより除去されます。
しかし、なにかしらの異常によりがん細胞を除去できなくなると、がん細胞が増えつづけて体の中にがん細胞が残ります。
マイクロCTC検査では、血液中に漏れ出して流れているがん細胞の中で、とくにほかの臓器などに浸潤や転移しやすい間葉系のがん細胞を捕まえてチェックできます。
また、マイクロCTC検査をする前に準備すべきこともないため気軽に受けられる検査です。
そして進行しているがんのみではなく、1㎝未満の超早期とよばれるがん細胞も見つけられます。
PET検査の基本情報
PET検査はブドウ糖に似た薬剤を注射し、がん細胞の有無や位置を画像で確認する検査です。
PET検査は、Positron Emission Tomography(ポジトロンエミッショントモグラフィー)検査の略称であり画像検査のひとつです。
がんが発症していないかどうかや、がんの広がり、ほかの臓器にがんが転移していないかをチェックできます。
また、がんに対する治療の効果や、治療後に再発していないかも確認できます。
現在PET検査で使われているのは、FDGと呼ばれる放射線フッ素をくわえたブドウ糖です。
点滴からFDGを注入すると、ブドウ糖ががん細胞にとりこまれるため、がん細胞が存在する部位を確認できます。
PET検査をおこなうと、体のすべてを撮像できるとともに、がんの部位や大きさのみではなくブドウ糖をとりこむ状態をみて、がんの活動状態もチェック可能です。
また、PET検査はCT検査やMRI検査と同時に実施する場合があります。
マイクロCTC検査とPET検査の主な5つの違い

マイクロCTC検査とPET検査には全身のがんを調べるという共通事項がありますが、異なる部分もあります。
ここではマイクロCTC検査とPET検査の代表的な5つの違いについて解説します。
発見できるがんの種類
マイクロCTC検査では血液癌以外、全身のがんリスクを検査できます。
また、従来のがんを調べる検査では見つけられないと考えられていた1㎝未満の超早期のがん細胞も発見できます。
一方、PET検査では日本人が発症しやすい胃癌のほか、膀胱癌、腎癌、肝細胞癌、子宮頸癌、前立腺癌などの数多くの癌が発見しにくいと報告されています。
また、炎症がおきている臓器や器官はPET検査を使用してがんの評価をすることは難しいです。
そしてPET検査では1㎝未満のがんを見つけることも困難です。
マイクロCTC検査の大きなメリットとして、PET検査では見つけにくいがんであっても簡単な検査で発見できることがあげられます。
安全性の高さ
PET検査は画像検査であり、画像を撮像するときに放射線を使います。使われる放射線の量は少量ですが、被ばくの危険性があります。
しかし、マイクロCTC検査は採血のみですべての検査が終了するため、被ばくの危険性はありません。
また、どちらの検査でも針を血管にさしますが、PET検査では一般的にFDGと呼ばれる薬を注入するためアレルギーが起きる可能性があります。
一方マイクロCTCでは、体の血液を採取するのみでありアレルギーの心配も不要です。
マイクロCTCはPET検査よりも安全な検査といえるでしょう。
検査費用
マイクロCTC検査を1回おこなうには、180,000円(税込み198,000円)かかります。
PET検査では、PET検査のみで60,000円~120,000円かかります。
全身のがんを評価するためには、マイクロCTC検査では追加の検査は基本的に不要です。
しかし、PET検査では場合によりCT検査や採血などの検査も追加で必要となり、これらの検査費用もあわせると230,000円~250,000円もの料金になることがあります。
全身のがんをチェックする場合には、マイクロCTC検査の方がPET検査よりも必要な料金がおさえられます。
がん検査は定期的に受けることが重要であるため、検査にかかる費用も参考にしましょう。
検査の所要時間
PET検査では、6時間程前から糖分を含む飲食物の摂取を控えます。
その後クリニックに行きFDGの注射をおこない、ベッドなどでゆっくりと過ごして1時間かけてFDGを体内へ取りこませます。
検査の直前にトイレに行き排尿し、検査をおこなう専用の寝台にあおむけに寝転がり30分かけて撮像します。
撮像した画像でがんがよくわからなかった場合には、追加で撮影を実施する場合もあります。
検査が終わると、水分を多く摂取して尿からFDGを体の外に排泄することが重要です。
一方でマイクロCTC検査は、採血をおこなうのみで終了します。
検査に必要な時間は5分もかからずクリニックに行くのみでよいため手軽におこなえる検査です。
検査前の準備
PET検査では検査をおこなう通常6時間前から、糖分が含まれる食べ物や飲み物の摂取ができないことに注意が必要です。
甘いジュースや牛乳、スポーツ飲料、お酒なども飲めません。また、あめやシュガーレスのガムなども食べられません。
摂取できる飲み物は、お水やお茶、白湯などです。糖分制限するため、糖尿病をわずらっている方は事前に医師と相談するようにしましょう。
タバコを吸うのもできる限り避ける必要があります。
また、検査前日と当日に注意すべき点として、筋肉や喉に薬が集まる可能性があるため控えた方がよい行動があります。たとえば、力仕事や激しい運動、カラオケなどできる限り控えましょう。
正しく検査をうけるために、当日のクリニックへの移動手段にも気をつかいましょう。たとえば長い距離を歩いたり、自転車をこいだりせず、電車やバスなどの公共交通機関や車などで移動することが重要です。
一方、マイクロCTC検査では、検査前の準備は不要です。
採血をうけるためにクリニックへ行くのみで検査が終わるため、事前の飲食物の制限もありません。
マイクロCTC検査に関するよくある3つの質問

マイクロCTC検査についてよくある質問について紹介します。
マイクロCTC検査を検討している方はぜひ参考にしてください。
1回5分の採血で本当に検査ができるのですか?
マイクロCTC検査は1回5分の採血で検査をおこなえます。
マイクロCTC検査は、血液中にがん細胞があるかどうかや、がん細胞の個数などを専用の機械で判定する検査です。
PET検査やCT検査などのように画像を撮像する必要がなく、血液さえ採取すれば検査自体は終了します。
その後は結果がわかるまで待つだけのため、追加の検査も不要です。
マイクロCTC検査には、採血の針による痛み以外に痛みや苦しみもなく、5分の採血のみでがんの有無を判定できます。
どの程度の頻度で検査を受ける必要がありますか?
マイクロCTC検査は、6か月~1年に1回受けるとよいでしょう。
がんが1㎝以上の大きさまで成長すると、6か月~1年でがんの病状が急速にすすむことがあります。
がんをできるだけ早い段階でみつけて適切な治療をおこなうためには、6か月~1年の間隔で定期的にマイクロCTC検査を受けるようにしましょう。
マイクロCTC検査はどのような方におすすめですか?
マイクロCTC検査は、長い時間がかかる検査を受ける時間がとりにくい方や、気軽に全身のがんをチェックしたい方におすすめです。
マイクロCTC検査は1回5分の採血で検査が終了するとともに、採血時の痛み以外に苦痛はありません。
また、検査には放射線を使用しないため医療被ばくが不安な方も安心して受けられます。
がんを発症して手術や薬物療法などによりがん治療が終わったとしても、少なくとも5年間は半年ごとにPET検査やCT検査などを受けることになります。
しかしPET検査やCT検査には医療被ばくのリスクがあるため、新たにがんが発症する可能性もあります。
マイクロCTC検査では、PET検査やCT検査などと比較して、医療被ばくもなく簡便にがんの有無を確認できます。
ただし、血液癌はマイクロCTC検査では見つけられないため注意が必要です。
血液癌をチェックしたい方はほかの検査もあわせておこないましょう。
PET検査に関するよくある3つの質問

PET検査についてよくある質問について紹介します。
PET検査とマイクロCTC検査のどちらを受けようか迷う方はぜひ参考にしてください
PET検査はどの程度の頻度で受ける必要がありますか?
PET検査を受けるべき頻度は、がんの発症しやすさや年齢により異なります。
がんを発症したことがない方でも1~2年に1回は受けるようにしましょう。
FDGを使用したPETがん検診をおこなう場合に考えるべきことが記載された、FDG-PETがん検診のガイドラインによると、積極的に受けるべき方は50歳以上の方です。
また、血縁者にがんを発症した方がいる、タバコを吸う、などがんを発症しやすい方は50歳以下の方も早めに受けるようにしましょう。
ただし、PET検査で見つけられるがんは限られているため、マイクロCTC検査を含むほかの検査と組みあわせておこないましょう。
検査前後の注意点はありますか?
PET検査では、検査時間の6時間前から糖分を含む食べ物や飲み物を摂取してはいけません。
糖分が含まれた飲食物を摂取すると血液内のブドウ糖濃度が高くなり、FDGががんに集積しにくくなるため正確な診断が難しくなります。
ただし、検査を適切におこなうために、そして被ばく量を減らすためにはFDGを尿から排泄させる必要があります。
お水やお茶、白湯などは積極的に摂取するようにしましょう。
また、水泳やスポーツなど筋肉を動かして運動をするとFDGが筋肉に集積しやすくなるため、検査前日から安静に過ごすようにしましょう。
検査当日には、運動を控える以外にもFDGを集積させないために眼を使う読書やのどを使う会話などは控えることが重要です。
まとめ

マイクロCTC検査とPET検査はいずれも全身のがんの有無をチェックする検査です。
マイクロCTC検査はPET検査とは異なり、1㎝未満の超早期のがん細胞も発見できます。
また、マイクロCTC検査は1回5分の採血のみで全身のがんのリスクがわかりますが、PET検査では検査時間のみで1時間30分必要です。
そしてマイクロCTC検査では採血以外の検査が不要であり、採血時の痛み以外には苦痛を感じません。
PET検査では医療被ばくのリスクがあるとともに、検査前日から運動制限、検査当日6時間前から飲食物の制限などがあるため注意が必要です。
マイクロCTC検査では血液癌を発見できませんが、医療被ばくがなく安全性が高い、全身のがんリスクを調べるための費用が抑えられる、簡便に検査できる、などの点でPET検査よりもメリットあります。
全身がんの有無や再発をチェックするためには6か月~1年の間隔で定期的にマイクロCTC検査を受けましょう。
※本記事の情報は2023年10月時点のものです。
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